竹取物語はいいぞ。
益田勝実という人が、名言を残している。曰く、「竹取物語の作者は、主人公のこころを描くことに強いはりあいを感じている」と。
かぐや姫は、5人の貴族に難題を与えるも、みんな失敗して散々なめにあってる。これに対してかぐや姫は最初は全く反応を示さないんだけど、実は物語が進むに連れ、徐々に「少しあはれ」と思ったりするようになる。
それが帝とのやり取りのなかで、自らの心の表出にほかならない和歌を詠むようになる。
クライマックスでは、育ててくれた翁たちや帝に手紙を書く。月の使者が来て、着ると感情がなくなってしまうという天の羽衣を着る時、遅いと急かされるんだけど、かぐや姫は「もの知らぬことなとたまひそ」と、月の使者を諫めるんだ。情緒のわからないことを言うんじゃない、とね。
まさに竹取物語は、心の獲得をテーマにしている、とぼくも思う。
日本現存最古の物語がこのような高度なテーマを持っており、しかも笑いあり、SFありと、題材も文体も面白いことに、ぼくはとても興味を持っているよ。